70分耐久レース
作成日:99/09/09
更新日:99/09/11

俺:「さて。」

おーた:「いきますか。」

もて耐は、決勝に駒を進めるためのチャンスが3回与えられる。
第1ライダーの予選、第2ライダーの予選、そして敗者復活の70分耐久レースだ。
今年の決勝は、予選上位50台の他に70耐から上位8台を選抜し、更に主催者推薦の8台を含む計66台で争われる。

この70耐が俺達にとっても最後のチャンスとなった。予選91番手だから、70耐のグリッドは41番手スタート。まともに考えれば上位8台に食い込むのは奇跡に近いが、僅かでも可能性がある限り、全力を尽くす。ざっと見たところ、2人の平均タイムで見てみれば20台は上に行けそうだ。あとの12台は気合で何とかする!レースは何があるか分からない。

全員、明日着る予定だった決勝用のTシャツを着る。明日を諦めるのではなく、最後のチャンスに望みをかけ、背水の陣で70耐に挑む姿勢だ。

おーたを中心とし、70耐のミーティングが行われる。
基本的な作戦は去年と同じ。俺がスタートライダーで、スタートから20周計測で走り、21周目にピットイン。時間にして約46分。給油を行い、残りをおーたが走る。
スタート時のバイク支持はもり。ストップウォッチのスタートタイミングはシグナルブルー。
プラットフォーム担当は、俺の走行時は計測とサインボード出しをgomaが行い、おーたの走行時はえみゅ〜が行う。サインボードの表示は、上段が順位、下段が残りラップ数。カズは一貫して記帳係。
ピットイン時の段取りは、まずgomaがストップボード。所定の位置にバイクが停止したら俺は速効で降り、もりがスタンド掛け。おーたが乗車すると同時にすぅとおーたで左右のイニシャル抜く。それが終わった所でえいじが給油。給油口のサポートはすぅ。給油時間の計測はgomaで、消化器のスタンバイがカズ。
尚、ペースカーが入った場合でも、ピットには入らず、予定通りとする。

Compusのメカニック。左からえいじ、もり、すぅ。

グリッド表が発表されないまま、予定より50分遅れてスタート進行が始まる。

ピットアウトし、まずはサイティングラップ。


コースを1周し、グリッドへ着く。ガソリンを節約する為、最終コーナーを立ち上がった所でエンジンをカット。惰性でみんなの待つ41番手グリッドへバイクを運ぶ。


手短に選手紹介が行われる。70耐もまた、ハイレベルなレースが予想される。


ウォームアップラップも、ル・マン式スタートで行われる。スタート練習はこれ1回限り。練習と思わず、これが本番の気持ちで望む。ここから集中してないと、本番でいいスタートは出来ないと思った。
バイクの支持をもりに任せ、俺はコースサイド反対側に移動する。ギアは1速に入れたままとし、跨った瞬間にクラッチを握り、セルを回す。

カウントダウンが行われ、ウォームアップラップがスタートする。
バイクに駆け寄り、クラッチを握りながらバイクに跨る。セルを回し、エンジンスタートと同時にクラッチを繋ぐ。
ポンッとフロントが上がり、思わずアクセルを戻す。

俺:(おっと!びっくりしたぁ。そーいや、このバイクで思いっきりスタートした事なかったな。)

スタート後、1コーナーまでは、そのまま左側を走る。やはり左側は大渋滞。

各コーナーはなるべく全開で走るよう心がける。
最終コーナーを立ち上がり、再びグリッドにバイクを着ける。バイクをもりに預け、コースサイドへ移動し、スタートを待つ。

間もなくカウントダウンが始まった。カウントダウンの声には耳を傾けず、電光掲示板を睨む。

俺:(クラッチは慎重に。スタートしたら右側だ。)

3・・・2・・・1・・・スタート。


バイクに駆け寄り、先程と同じ手順でスタートする。今度はうまくスタート出来た。
バイクを右に寄せ、センターから1コーナーへ進入。視界の左側にコースアウトしたバイクが映る。

70分耐久レースが今、始まった。

3コーナーの進入も、縦列している右側を横目にラインを1本ずらしてブレーキング。左側から並びかける。しかし、更に左側から入ってきたバイクがインを狙う。
3台同時に狭い3コーナーへ進入。ブレーキを離す事が出来ない。

俺:(取られたっ!)

俺のイン側から先に3コーナーへ入ったバイクは、何事も無かったかのように4コーナーを立ち上がり、5コーナーまでのストレートで引き離して行く。

俺:(やるじゃねーか。レースだ。これがレースってもんだ!)

スタートから1,2周は、各コーナーのブレーキングでバイクが左右に散らばる。少しでも前に行こうと一瞬、冷静さを失いかけるが、自分だけのレースではない事を思い出し、混乱が落ち着くまで慎重に走る。タイムは10秒から11秒。
俺は与えられた周回数に対し、ペースを落とさず、転ばず、確実にこのバイクをおーたへ届けなければいけない。

3周目、4コーナー立ち上がり。5コーナーまでの直線でバイクが縦一列に並んでいる。

俺:(さって。1台ずつ食っていきますか。)

しかし、さすがにそう簡単には抜かせてくれない。ワンミスで一気に前のバイクは離れて行く。一旦落ち着こうとした瞬間、後ろから来たバイクにインを取られる。

ホームストレートを通過する。サインボードに表示される順位は28位から徐々に26位まで上がってきた。

俺:(26位・・・か。)

このフルコースを20周も走らなければいけない。後半で息切れしないよう、ペース配分を考えて走る。中盤に差し掛かり、タイムは9秒から10秒。

ここから暫くは、同じバイクを相手に、抜いたり抜かれたりを繰り返す。ホームストレートでサインボードを確認。後半に入ってからの見逃しは、許されない事態を招く。

Compus
RoadRacing
26
 3

俺:(あと3周・・・。)

残り3周を全力で走りきろうと思った所でガソリンの警告灯が点き始める。4,5,6速のシフトポイントを500回転下げて走る。

俺:(あと3周って事は4周走らなきゃいけねって事だしなぁ。ガスやばそうだな。)

耐久で恐いのがガス欠。サインボードに表示されている残りラップ数「3」は、あと3周計測されると言う事で、残り1周になった時に「L」と表示され、その後に出される「P」を確認し、ピットへ戻る。この、ピットに戻るまでの1周を考慮しておかなければならない。

Compus
RoadRacing
26
 1

残り1周。ホームストレート通過時に右足でピットインの合図をする。万が一のガス欠に備え、予定より1周早くピットインした時を考慮し、ピットへの準備を促す。

その周のダウンヒルストレートで一瞬、ガス欠症状が出る。やはり無理だった。やばいと思い、アクセルを戻し、バイクを右側に寄せる。回転を抑えながら、そのまま右側を走行し、ピットへ帰る。

イニシャル調整
給油&給油時間計測
カウントダウン GO!

各チーム、ライダー交代の影響で、一時10位まで順位を上げるが、レースも後半に入った頃には、23位付近で落ち着く。


チェッカーまであと1分。全員でプラットフォームに駆け寄り、おーたのチェッカーを待つ。そして午後5時27分。おーたがチェッカーを受ける。最終ラップがおーたの自己ベストタイムだった。
おーたの感想
とにかく、ベストタイムで安定して周回するつもりで走った。
交替のときに、9L給油する予定が8Lしか給油できなかったので、いつ警告灯が点くか気になったが、点くまでは特になにもせずスロットル全開で走った。
残り2周半で警告灯がついたのでシフトアップを早めにして、エンジンの回転数をすこし下げて 走った。
また、レースの終盤に自分の走り方を思い出して、いままでよりも速いスピードで一気に旋回させるようにしたらバイクが思うように動くし、挙動が安定するようになり、気持ちよく走れた。ちょと減速に意識が行き過ぎて肝心のコーナーリングスピードを殺してしまってたみたい。
バイクは4気筒にストレートで置いていかれる以外は問題なし。



正式結果が発表される。出走64台。完走54台中、25位。言うに及ばず、これで決勝の出場資格は完全に失った。俺もおーたも精一杯やった結果だった。

続く70キロレースも終わり、本日全てのスケジュールが消化された。
ピットロードにバイクを置き、みんなで記念撮影。

KLEVER Compus

全員

外で飯を食った後、ホテルに戻る。宴会予定だったが、部屋に入った瞬間、ベッドに倒れる。

終わった・・・。何の不安も無く寝られるのは何ヵ月ぶりだろう・・・。


セッティングデータ
ノーマル今日のセッティング(スプリング変更)
サスペンション
(フロント)
突き出し0o7o
油面130mm150mm
イニシャル4目盛りHIRO:3目盛り/おーた:5目盛り
ダンパー最強から1回転戻し最強から1/2回転戻し
サスペンション
(リア)
車高0o5o上げ
イニシャル最弱から2段目最弱から3段目
ダンパー最強から1回転戻し最強から1/2回転戻し
メインジェットF165、R162(国内仕様)F175/R178

70耐のベストタイム
HIRO2分08秒93
おーた2分11秒57自己ベスト更新

以上

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