公式予選−後編−
作成日:00/09/28
更新日:00/10/08

間もなくして診察台からシーツ毎ストレッチャーへ移される。しまいにはこの大人数で体を抱え上げられる事に恐怖を覚えるようになった。タンカ→診察台→ストレッチャー→手術台→ストレッチャー→診察台→ストレッチャーと乗せかえられるたびに激痛が走り、その痛みをこらえるのに相当まいっていた。

診察室から出て、廊下を移動する。俺は相変わらず痛みと苦しさで目を閉じている。近くに仲間がいるのかどうかも分からない。

廊下から外へ通じるドアが開く。段差を乗り越える衝撃でまた痛みが走る。バタバタバタとヘリの轟音が鳴り響き、再び暑さがよみがえってくる。目を閉じていてもまぶた越しに直射日光がまぶしすぎる。
その直射日光をさえぎるプロペラの陰がまぶた越しにもわかる。どこへ連れて行かれるかも分からないまま1人ヘリに乗せられる事が少し心細かった。

ふと、gomaの声が聞こえたような気がした。

目を開け、声のする方を見るとgomaがヘリに乗っている。1人じゃない事を知り、少し安心する。

「OK?!、OKですか?飛べますか?」

「まだむこうのドアが開いてます〜。」

あちこちから大声が聞こえる。goma側の扉だけまだ閉まってないらしい。

goma:「これどうやって締めるんですか〜?」

今まさに飛び立とうとするさなか、自分とこのドアが閉まってない事に焦るgomaがおかしかった。
ドアぐれー自分で閉められろや。と突っ込みを入れたかったが、そんな力も無かった。

記:goma
中の様子も全くわからずただ待ちつづけているとまず、今までに見たことがないくらい落ち着きのないアキラさんが扉を少し開けて中を覗いていた。

アキラさん「手術しているよ」

もう一度扉を開く、本当だ。テレビでしか見たことのない手術の様子が見えた。
そんな私たちに気づいたツインリンクの人が「開けないで下さい!」と強い口調で言った。
「すみません」と三人で謝る、がすぐにアキラさんが鍵穴を覗く「あ〜ぁ 二枚扉で中で見えん」
そんな事をしているアキラさんを見て、ちょっぴり心が和んだ。

様子は知りたいが、手術は見たくない。
テーピングを貰いにきたどこかのチームの人がツインリンクの人に声をかけたが、
今、先生たちは全員手が離せないので、後にして下さいと断られていた。
突然、又外にいるおじさんとツインリンクの人がひそひそと話しをしている。
すると、えみゅが「ヘリコプターで運ばれるんですかね」と、言った。
へっ?そんなに悪いのかなぁぁぁ。でも、誰もまだ何も説明してくれない。
居たたまれなくなって、そのおじさんに声をかける「ヘリコプターで運ばれるんですか?」

おじさん「今はそう聞いています。」

ツインリンクの人が地図を持ってやって来た。

ツ「これから病院にヘリで輸送します。」

ツ「病院はこの地図で言うと此処で・・・・・・」もぅ何を説明されているかも良く分からない。

私「付き添いはヘリに乗れないのですか?」

ツ「定員は5名なので、乗れませんね」

ヘリおじさん(さっきヘリを飛ばすのかと尋ねたおじさん)「私は乗りませんから、乗れますよ」

ツ「では、付き添い1名は一緒に乗って、他の方は車で、1時間半位で着くと思います」

そして、私が一緒にヘリに乗ることになった。
一旦、メディカルから出て行ったアキラさんが戻ってきて、再度病院の説明を聞いている間、私はお医者さんから病状を説明される
医「転倒した衝撃で肺から空気が漏れて、その空気のせいで肺が膨らむ事が出来なくなっていたので、呼吸が出来なかったようです。
その空気を抜くために手術しました。これで、だいぶ楽になったと思います。
意識もあるし、骨折もなく他に異常は見られません。
これから、病院に運んで治療すれば、すぐ良くなりますよ」

すると、椅子に腰掛けて今まで黙っていた人が「まだ見て貰えませんか? 僕もそーとー痛いんですけどぉ」と、診察を催促した。
えっ?今までずぅ〜と待たされていたんだ と、初めて気づいた。
「あっ ではこちらへどうぞ」と処置室に入っていった。

それから、輸送の準備がばたばたと行われ、ヘリおじさんに連れられてヘリに乗る。
ガタガタと揺られながら、酸素マスクをつけてストレッチゃーで運ばれてきたHIRO。
操縦席の隣に一人が寝られる位の板があり、持ち上げられて移動させられる(苦痛で顔が歪む、痛そうぅぅぅ)
点滴もヘリの天井からぶら下げられ、酸素ボンベからはブクブクと酸素が出ている。
すごい重病人の様に見える・・・すると目を開けて私に気づいた。
知っている人の顔を見て安心した様で再び目を閉じ、苦痛に耐えている。
そんな一瞬でも本当に意識があるんだと分かってほんの少し安心した。

私は医者からヘッドホンを渡され、使用方法の説明を受けてただ頷くばかり。
離陸寸前にヘリの周りから一斉に人が散らばって行く、練習に来ている時にはうるさいヘリだなぁと思っていたヘリにお世話になるとは・・・。
記:えみゅ
HIROさんはレントゲン撮影後もなかなか処置室から出てこなかった。
先生や職員からもなんの説明もなく、gomaさんとアキラさんと3人、ただ待つしかなかった。
処置室の外で緊急ヘリのおじさんが待機しているのも気になった。
そして用意されているストレッチャー・・・
(まさかヘリで運ばれたりしないよね・・・)と不安になる。
まさか・・・と思いつつも思わず口にしてしまった。

えみゅ「もしかしたら緊急ヘリで運ばれちゃうかも・・・だってヘリのおじさんがさっきからうろうろしてるし。。。」
アキラさん「まさか、大丈夫でしょ。」
アキラさん「・・・」

突然、コース側の出口から外のほうへ様子を見に行くアキラさん。

アキラさん「ヘリのエンジンかかってたらどうしようかと思っちゃった。(^^;あの人はあそこにいるだけでしょ。」

どうにも落ち着かないアキラさんは処置室のドアを細く開けて中をのぞいた。

アキラさん「手術してるかも・・・手術用のライトがついてた」
gomaさんと私「えっ・・・」
職員「開けないでください。」

開けないでといわれても気になる・・・
今度は鍵穴から覗くアキラさん。

アキラさん「二重になってて見えない。(−−;」

そんなことをしているうちにトシさんが慌てた様子でやってきた。

トシさん「マスターカップが壊れちゃって代わりを探してるんですけど、ピットの外からだとどれがVTRかわからなくて・・・ちょっと付き合いません?」
アキラさん「お、俺はこっちがあるからちょっといけない。」
トシさん「そ、そうですよね・・・ピット割表とかありますか?」
えみゅ「あ、ピットにあります。」

トシさんと一緒にピットに行きピット割表を渡すと、またメディカルに戻った。

しばらくしてピット側出口に近いほうのドアが開いた。
すかさず中を覗く私とgomaさん。
そこには手術台にねかされたHIROさんがいた。
左わき腹のあたりが赤くなっている。血???
側にいたヘリのおじさんに聞いてみた。

gomaさん「ヘリで輸送ってことはないですよね・・・?(汗)」
おじさん「たぶん、ヘリで運ぶことになると思うよ」
gomaさん「どうゆう状態なんですか?」
おじさん「それは、先生じゃないからわからないよ。」
・・・

その後、先生から肺の状態が説明され緊急ヘリで病院に運ぶことになった。
ヘリには患者しか乗れないとのことだったが1人なら同乗できる事になったのでgomaさんが乗り、アキラさんと私は後から車で行くことになった。

ちなみにHIROさんがメディカルに着く前から診察待ちをしていた人がいた。
その人は手を打っているらしくレントゲンも待たされていた。
「結構マジで痛いんですけど・・・」と訴えていたが先生たちはHIROさんにかかりきりになったため後回しにされていた。
また、HIROさんが処置されている間にテーピングを借りにきた人もいたが、先生たちはHIROさんにかかりきりだったため後回しにされていた。
記:アキラ
応急処置が終わり、HIROはヘリで運ばれるらしい。
職員の人から病院への道順を聞き、地図を貰う。

職員:「車だと1時間ちょっとかかりますからすぐに向かってください」

gomaはヘリに同行するため、えみゅと二人でHIROの車が置いてある第2パドックへ行く。
記:おーた
修復作業を始めた途端、
「ゼッケン78番の第二ライダーの方コントロールタワー三階までおこしください」
とのアナウンス。
とうぜん、HIROはコントロールタワーにいけるはずもなく、代わりに俺が行く。

俺:「あの〜、ゼッケン78番なんですけど」

しばらくすると、担当の人がでてきた。

俺: 「第二ライダーは負傷して来れないので代わりに来ました。」
担当者:「そうですか。実はですね....」

担当者が話をはじめた。どうもV字コーナーのポストから状況報告があったらしく、
黄旗無視のあと、オイルに乗って転倒したということが告げられた。

担当者:「黄旗で抜いたマシンが極端に遅いマシンならペナルティの対象にならないんですが..」

担当の人は、事情聴取をするつもりだったらしいが、本人が出頭(犯罪者か?)出来ないため、
「ペナルティの対象になる可能性があります。」と俺に告げてその場は終わった。
記:トシ
ピット割り表を借りにメディカルまで行ったがそこには不安そうにたたずむ3人の姿が目に映りました。
兄弟ながらさほど兄貴の事は心配していませんでした。
生きているし、骨に異常が無いのなら、けろっと帰ってくる。
そう感じていました。

子供の頃、家族でどこかの牧場に遊びに行った時、わがままを言って1度だけ観光用のヘリに乗った事を思い出す。昔からあまり親の言う事を聞かなかった俺は、いまだに親孝行らしい事もせず、バイクばっかり乗りまわしてるバチがあたったのかな。とちょっと思った。たまにそう思うのはいつも決まってこんな時だけだ。

エンジンの音が大きくなり、バタバタバタからバァァァァに音質が変わる。浮遊感とともにその音はパタパタパタと軽い音に変わった。

記:すぅ
バタバタバタバタッ、轟音とともにメディカル裏からヘリコプターが飛び立った。
宇都宮の総合病院へHIROを緊急搬送するとの事。HIROと付き添いのgomaを乗せたヘリが大空に消えていった。
アキラ、えみゅ〜が後を追う。(ハイエースは空は飛べない)
ヘリは8分で到着するが、ハイエースでは1時間20分掛かるそうだ。
記:goma
高層ビルの高速エレベータのようにヘリは離陸した。
眼下の45番PIT前にはSDRのTシャツを来た人が沢山見えた。皆こっちを向いている。
手を振って合図をしたかったが、不謹慎かと思いやめた。
それから、田んぼと森とぽつぽつと見える住宅の同じ景色を何度も見ながら苦痛の汗でびっしょりのHIROを見守る。
記:えみゅ
急いでピットに戻りおーたさんに状況を説明し第2パドックへ行こうとしたとき、コントロールタワーへの呼び出しがかかった。

おーたさん「リタイヤのことかも。賞典外でいいから第3ライダーが走れるように言って」
えみゅ「りょーかい!」

コントロールタワーにいくとリタイヤのことではなく、黄旗区間での追い越しについての罰金のことだった。
とりあえず早く病院に向かいたかったので言われた通りに罰金を払った。

病院に向かいながらアキラさんはチーム監督として6秒フラットが出たときにピットインさせれば良かったと後悔し、私は転んでもいいなんて言わなければ良かったと後悔した。
今思えば、手元で5秒9が出たとき、私がピットに確認しに行かなければサインボードにもそのまま表示してライダーが迷わずにすんだのかもしれない。
「もしこうだったら・・・」と考えずにはいられなかった。
記:アキラ
俺:「僕は病院に行きますから後は頼みます。なにかあったら電話下さい」

おーたさんとすぅさんにひとこと言い45番ピットを後にした。

(この日のためにみんな頑張ってきたのに・・・なんでこんな事に・・・)

(6秒0が出たとき、やめさせていればよかったのか?あとコンマ2秒を欲しがったために・・・)

色々な考えが交差する・・・。思わず天を仰ぐとそこにHIROを乗せたヘリが飛び立っていった。

(終わったのか?これで今年は終わってしまったのか・・・)

(いや、もう考えるのはよそう。万がひとつ、HIROが走れることを祈ろう)

病院へ向かう車の中でトシが予選を無事走りきり、45番手で正式に予選を通過したことを知る。

あれだけみんなが願った予選通過。それをこんな状態で聞かされるとは考えもしなかった。

 13:45 病院 

どれくらい飛んでいただろうか。10分か15分か。随分長い間乗っていたような気がする。暑苦しい機内が息苦しさを増し、メディカルでひいた汗もまた吹き返してきた。わき腹から入れられたクダが痛い。傍らにいた医者らしき人が時折窓を開けて風を入れてくれていた。ただ、早く病院に到着して欲しかった。

じっとしているだけでも辛いのに、着陸の衝撃でまたあの痛みを味わうのかと思うと憂鬱になったが、すぐに杞憂に終わる事が分かった。意外にもほとんどショックを感じず、ヘリは着陸した。

ドアが開き、待機していた大勢の看護婦によりストレッチャーに乗せかえられ、急ぎ足で院内へ運ばれる。なにやらでこぼこした路面らしく、運ばれている間はずっと痛みと戦っていた。ヘリに乗る時と同様、まぶた越しの直射日光がまぶしすぎた。
病院に入る直前、日陰になった所で少しだけまぶたを開くと、近代的な建物が目にうつった。やっと病院に着いたという安堵感に包まれた。

記:goma
15分位で病院が見えてきた。随分と大きい病院だ。
ヘリポートというより広い草むらに着陸するようだ。草むらの周りや建物のそばにはヘリに気づいた野次馬が沢山いた。
そして、その近くにストレッチーを用意して待機している5,6人の医師と看護婦がいた。
離陸の時もそうだったが、着陸も震動もなく全く怖いとは一度も思わなかった。
着陸すると、ストレッチゃーと看護婦が駆け寄ってくる。
ストレッチャーに移動する時にまた苦痛に歪む顔。
ヘリから降りて、一人の看護婦に「付き添いの人は走って」と言われるがまま、救急病棟入口の受付まで走る。
受付で病人の名前や住所等を書いていると、ストレッチャーが入ってきてそのままレントゲン室へ。
受付をすませ、近くの椅子に腰掛けただ診察を待つ。
そして、ツインリンクから同行したお医者さんと看護婦さんはレントゲンを置いて、ヘリへ戻って行った。
「地獄で仏」の心境で二人にお礼を言いました。
そのままレントゲン室へ直行し、数枚撮られた後CT室へ。
記:goma
腰から上だけでいいのかしら? 脊椎は? 軽く全身撮る?
看護婦さんの声が飛ぶ (全身くまなく撮ってよぉぉぉと心で叫ぶ)
医者らしい人が「今はレントゲン撮影をして、その後にCTを撮りますから」と説明してくれた。
暫くして隣のCT室へ移動。

技師らしい人に説明を受ける。どうやら頭の先から足の付け根まで撮るらしい。声も出せず、黙って聞いていた。ただ、「動かないでじっとしてて下さいね。」には「言われなくても動けません。」と突っ込みを入れたかった。

この頃あたりから段々と呼吸が楽になってきた気がした。

CTの冷たい台に体を乗せられる。固い台が背中の痛みを助長する。早く終わって欲しかった。頭からゆっくりとCTの丸い穴に入っていく。CTを撮られるのは生まれて始めてだ。
シュンシュンシュンシュンと何かが回転する音が聞こえる。ちょっとスライドしては止まり、またスライドしては止まりを繰り返す。
首まで撮った頃、一旦止まり、機械の声が聞こえる。

CT:「オオキク イキヲ スッテクダサイ」

HIRO:(今そんな事出来ないんだが・・。)

しょうがないので、言われるまま出来るだけ吸いこむ。

CT:「イキヲ トメテクダサイ」

再びシュンシュンと動き出す。

HIRO:「・・・・・。」

CTは先ほどと同じようにスライドしては止まりを繰り返す。

HIRO:(く、くるしい・・・。)

HIRO:「・・・・・。」

HIRO:(もうダメ。限界。)

HIRO:「はっ、はっ、はっ、はっ」

おかまいなしに、そのまま同じ動作を繰り返すCT。首から足の付け根までなので結構長い時間やっている。
やっと下腹部の下あたりで止まる。健康な人間でもこんなに長い時間息を止めてられない。

CT:「イキヲ ラクニシテクダサイ」

俺:(死んじまうわ!このポンコツ!)

今度は処置室へ移されると、待機していた医者に対してメディカルでやった確認を繰り返す。
足は動くか手は動くか触って分かるかどこが痛いか等々・・・。

専門の違う数人の医者が話をしている。とりあえず外傷と骨の異常がみられないので、整形外科医は一旦退却。
その後奥まで入れすぎていたクダを少し抜いていた。

記:goma
先生から病状の説明
気胸と肺挫傷だが、事故の場合症状がすぐに出ない場合があるので少し様子を見るという事で即入院。

看護婦が病棟への確認を行っている。またストレッチャーに乗せられ、病棟へ移動する。
病室へ入り、数人の看護婦に持ちあがられ、ベッドに乗せられる。これが最後と痛みとこらえる。
パンツ一丁のままベッドに乗せられ、寝巻きを着せられる。強引に肘を曲げられ、無理やり袖を通される。乱暴な看護婦だと思った。
なんとか寝巻きを着終えると看護婦はどやどやと病室を出ていった。

HIRO:「・・・・。」
記:goma
青の布に包まれて、病棟まで運ばれベットに移動する時に病院の寝巻きに着替えさせられ、すごく痛そうなのに声がない。
やっとの事で横になり、点滴も酸素マスクも定位置に落ち着き、看護婦さん達は去って行った。
静かな病室にやっと落ち着いた。呼吸も先程よりは随分楽になり、痛み止めの点滴が効いてるのか、一時的に痛みも和らいでいるような気がした。
処置されたわき腹からクダが出ているのをそっと手で触る。クダの先には注射器のような円筒形の物体がつながっていた。首が上がらず、見ることは出来ない。

暫くして担当の主治医が病状の説明に来る。肋骨に骨折は診られないが、肺が挫傷して穴が開いているとの事。その結果肺と肺の周りを取り巻く内膜の間に空気がたまり、肺が膨らむのを邪魔している。入れられたクダはその空気を抜くためのものらしい。

医師:「ま、暫くその状態で様子みますから。」

HIRO:「はい・・・。」(暫くってどれくらいだ?1時間か1日か?それとも・・・)



 12:45 Cグループ第2ライダー公式予選終了 

記:すぅ
すでに走行を終えた、てんちょ、Kureちゃん、20番ピットの手伝いに来ていたはずのdevilまでがマシン修理に手を貸してくれる。仲間ってイイね。
第3ライダーのトシの予選まで1時間。壊れた部品を剥ぎ取り、スペアと交換する。
ステップやレバー類はスペアの用意があるものの、ブレーキマスターやクラッチマスターのリザーバタンクなんて用意してない。
ブレーキマスターのリザーバータンクはKureさんのチームのパーツ取りTZから拝借する。
クラッチマスターのリザーバータンクは同じマシンを使っているチームに片っ端から聞いて廻る。
第3ライダーのトシ自身がピットを廻って、チームIwakiから貸してもらうことができた。
チームIwakiのみなさん、ありがとうございました。

第3ライダー予選10分前に応急処置が終わり、どうにか走る形になった。
しかし、まともに走れるのか?フレームにダメージが及んでいればまっすぐ走ることすら出来ないだろう。
記:おーた
マシンは思った以上に破損していた。
一番の問題は、クラッチのフルードタンクが破損してることだった。
「借りてくるしかないな」
自分で借りに行こうとしたが、そうすると修復が間に合わない。
そこで、ピットの外にいたトシを呼ぶ。

俺: 「クラッチのフルードタンクを借りてきて。SP−1も同じだから」
トシ:「わかりました」

すこしして、トシが戻ってきた。

トシ:「PIT割り表ありませんかねぇ」
俺: 「どこにあるかわかんないからメディカルに行ってる人に聞いて」

PITの外からはなかなかマシンの車種がわからないようで、PIT割りを元に探すようだ。

トシ:「チームIWAKIからかりてきました。快くかしてくれました」
俺: 「これでなんとかなるな」

予選中にもかかわらず手伝ってくれたKlever&CrossRoadの面々、devilの助けによりバイクがどんどん修復されていった。
カウルが右方向に歪んでいるが、なんとかトシの予選までに、走れる状態まで修復することができた。
(みんな、ありがとう)
記:トシ
修復作業は急ピッチで進んでおり、走れる状態になったのは、Cグループ第3ライダー予選の10分前位でした。
『おーたさん・すぅさん・devilさんに感謝』

 14:40 Cグループ第3ライダー公式予選開始 

記:おーた
俺 :「マシンがこんな状態だから慎重にね」
トシ:「わかりました」

トシがコースインしていく。とにかく基準タイムをクリアしてくれればいい。
クルーが病院に向かったため、devilとともにサインガードでボードを出す。
計測1周めに2分21秒台。

「これで予選通過だな」

その後、チェッカーまで走行し最終的には2分15秒台で予選を終えた。
記:トシ
応急ながら見た目は全然走れるバイクに直っていました。
とにかく130%
「基準タイムクリアしたら帰ってきます。」
と言い出動。
1週目は超ノロノロツーリング走り。
ダウンヒルストレートまで、異常が確認されなかったのでとりあえず『走れる!』と思いました。
気になるのは、ステップの位置とシフトの位置と金魚鉢のように前が見えないスクリーン。 シフトは異様に上でした。
スクリーンは全然見えなくて、ダウンヒル200m看板がよく見えず、怖くなりかなり手前でブレーキング。
タイムは出ないが、とりあえず走れる。

『兄貴は大したことが無い』
と思いながら、ちゃんと走れる事を実証すべく、結局最後まで走りました。

 14:45 病院 

もう目を開けていられない程辛くも無く、随分落ち着いた。酸素マスクが邪魔になり、弱々しい左手でそれを払いのけたら看護婦に見つかった。
体内の酸素濃度値が低いからと言っていたが、あまりにも俺がマスクを嫌がるので口を覆うタイプから鼻から吸う軽いタイプに変えられた。
「まだ飲食の許可が出てませんので、もう暫く我慢して下さい」と無機質に言い残し、病室を去って行く看護婦。

HIRO:(喉乾いた・・・。)

断るgomaに無理やり冷たいお茶を買ってきてもらう。

普通に呼吸出来ないので少しずつだが、半分くらいまで飲んだ所でやっと落ち着く。

今までの騒ぎが嘘のように、病室は静けさを保っていた。小さな、やっとの声で口を開く。

HIRO:「タイムは?」

goma:「6秒029」

HIRO:(0・・・・やっぱ見間違いじゃなかったんだ・・・。)

HIRO:(まてよ・・・029・・・そうか、ははは・・・目標もクリアしたんだ。)

去年のボーダー。50番手のタイムが2分6秒040。今年のタイムは僅差でそれを抜き、ギリギリで去年のボーダーとなるタイムだった。
5秒代には入れられなかったが、いつも通りのギリチョンで何とか目標はクリアしていた。

HIRO:「バイクは?」

goma:「ん〜。良く分からないけど、なんか一生懸命直してるみたい。」

HIRO:(そうか・・・俺と一緒に来たんだもんな。わかるわけねっか。)

直してるって事は直るって事だと勝手に思いこんでいた。きっとトシは走れるはずだ。

HIRO:(トシが走れれば予選通過だな・・・。)

記:goma
本人の病歴を聞きに看護婦が来るが声が出ないので話が進まない。
看「ご家族の方には連絡しましたか? こちらには何時頃見えますか?」としつこく聞かれたので、トシに電話をかけに行く。

やっと冷静に物事を考えられるようになった。バイクから吹っ飛ばされる直前に見た、左一杯にきれたハンドルの映像が何度も頭に浮かぶ。黄旗もオイル旗も出てなかったが、あれは完全にオイルかガソリンだった。

HIRO:(そういや、俺が転ぶ1,2周前にニンジャも飛んでたな・・・。)

今思うと、彼も同じ転び方だった。立ちあがりで無理やりハンドルを引っ張っていた所へフロントタイヤがオイルに乗り、ロックするまでハンドルがきれこみ、オイルを通過して急激にグリップを取り戻す。

HIRO:(フロントハイサイドって奴か。)

今までは転倒した瞬間、「やちまったっ!」と思う事が多かったが、今回の転倒はそんな余裕もなかった。最初は何故転んだのかも分からなかった。

電話をかけに行ってたgomaが戻ってくる。VTRはなんとか走れる状態まで修復し、トシは無事基準タイムをクリアして予選を終えたと知らされる。

goma:「45番手、予選通過です。」

予選通過を知って安心したのもつかの間、今度はリタイヤ届けを出すと言う。

HIRO:(リタイヤ?ふざけるな。俺は大丈夫だ!明日1日寝てりゃ退院して明後日の決勝までにはパドックに戻れる。)

鼻に酸素が送られ、右腕に点滴。わき腹にはクダを入れられ、肺に穴。両手は力が入らず、上げる事も出来ない。当然、起きあがれるはずもない。

これが2日後につなぎを着て耐久レースに出られる状況とは考えられなかった。だけど諦めきれなかった。自分達の実力で勝ち取った決勝の出場権をそう簡単に捨てられなかった。例え無理だと分かっていても、予選通過を知らされた瞬間、その権利を放棄する勇気は無かった。

記:goma
てんちょに病状を話し、トシに代わって貰い「家族が来ないのは困る」と看護婦に言われたと告げる。
トシも後からこっちに向かう事にして貰い、電話を切ろうとした時「リタイヤ届を今から出します」と言われた。
それをHIROに伝えると首で何か言いたそうで、

私「リタイヤしないの?」首が縦に動く
私「だってむりでしょ?」横に動く
私「じゃとりあえず、今提出するのは止めてもらえばいいの?」何度も縦に動く

仕方がないので、トシに再度電話して「本人がリタイヤ届けはもう少し待ってと言ってる」と伝える。
記:トシ
予選終了後リタイヤ届けを出す前に、兄貴の判断を仰ぐため電話をしたが、兄貴は明日(土曜日)まで待てと言う。
とにかく病院へ来てくれと言うことなので、おーたさんから地図を渡され病院へ向かった。
おーたさんは「マシンは完璧に直しておくからと伝えといて」と言いました。
雰囲気的に決勝出られるのかな?と思っていました。
記:えみゅ
やや当てにならない地図でやや迷い子になりながら病院に向かう間、てんちょさんになにかと連絡をとってもらいとても助かった。
(てんちょさんに感謝!!)
そしてトシさんが15秒台を出したことや総合45位で予選を通過したことを知った。
記:おーた
病院から連絡があり、命には別状はないとのこと。
身内であるトシが病院に向かうことになった。

俺 :「兄貴にマシンは完璧に直しておくからって伝えといて」
トシ:「わかりました」

フルードタンクをチームIWAKIに返すのをすぅさんに頼み、
TSRモテギにフルードタンクがないか探しに行く。
幸い、TSRにデモ車のVTRがあり、そのタンクを外して譲ってもらえることとなった。

「これで、マシンの方はなんとかなる。それにしても腹へった〜」
「そういや、いろいろなことがあって朝食べてからなにも食べてなかった」
「すぅさんに内緒でコンビニでなんかくっちゃお」

途中、コンビニでサンドイッチを買って食った。うめかった。
(そのころ、すぅさんも内緒でなんか食ってたらしい...)

17:00ごろパドックにもどると..
すぅさん:「コントロールタワーに呼ばれた」
俺 :「なんて?」
すぅさん:「メディカルからコントロールタワーに報告が行ったらしく、リタイヤするかどうか意志をはっきりさせてほしいだって」
俺 :「それで?」
すぅさん:「詳しい人が不在なため17:30ごろまたコントロールタワーにきてほしいだって。」

俺らは、補欠ライダーを登録していなかったため、1人でも欠けると出走できなくなる。
その場合には、他のチームの補欠を借りてくるか、リタイヤかの選択しかないそうだ。

目をつむって今までを振り返る。おーたとえみゅはずっと明後日の決勝を走る為に準備してきた。その為にみんなの協力も得てきている。


自分の予選計測周回を減らし、転んでもいいとさえ言ってくれたおーた。予選通過を俺に賭け、自分のバイクを完全に預けてくれたあいつにどう顔向けできるのか。

切符は手に入れた。あとは7時間走りきるだけだった。

走りたい。何の為にここまでやってきたんだ。こんな事で・・・こんな事で・・・俺のせいで全部台無しじゃねーか。いやだ、7耐出たい。走りたい・・・みんなで7時間走りきりたい・・・。

HIRO:(何やってんだ俺・・・。)

悔しくて情けなくて、こみ上げてきた感情は抑えきれず、ついに両目から涙がこぼれおちる。手は上げられず、涙をぬぐう事も出来ない。呼吸が苦しくてしゃくりあげる事も出来ず、ただ閉じたまぶたからぼろぼろと涙だけが落ちつづけた。

俺の様子に気づいた看護婦が驚いて「どうしたの?どこが痛いの?大丈夫?」としつこく聞いてくるが、言い訳する力も説明する力も残されていなかった。
そのうち看護婦は呆れたように首をかしげながら去って行った。

痛さに耐えつづけた体は精魂尽き果て、深い眠りについた。どうしようもなく疲れた・・・。



 リタイヤ 

どれくらい寝たのか。沢山寝たような気もするし、少ししか寝てないような気もする。
痛み止めの点滴液で随分楽になった。

間もなくアキラとえみゅが病室に到着する。なにか久しぶりに会った気がした。
記:えみゅ
病院について病室に行くと意外と元気そうなHIROさんがいた。
緊急手術とか集中治療室だったらどうしようと思っていただけにちょっとほっとした。
gomaさんに聞いたところ、私達が到着する少し前に痛み止めを点滴したため、薬が効いていたらしい。
息苦しそうにバイクの破損状況を心配するHIROさん。
でも私もアキラさんもバイクをほとんど見ていないので状況はわからなかった。
記:アキラ
病室に入るとすぐにHIROの顔が見えた。
痛み止めが効いているらしく今は大丈夫そうだが、さっきまでは辛かったらしい。
簡単にケガの状態を聞く。命に別状はなくとりあえずほっとした。

俺:「どうよ・・・」

HIRO:「走るよ・・・」

俺:「走るったってよ・・・」

全然無理だ。それは本人もわかっていると思うが。走れないとは言えないのも正直な気持ちだろう。
俺が「走れないよ」とも言えない。

(どうする・・・諦めろとも言えないしなぁ・・・)

(しかたない。医者に言ってもらうか。ドクターストップなら本人も納得するよな。)
アキラ:「どぉ?」

HIRO:「大丈夫。走るよ。」

アキラ:「えっ?!」

HIRO:「走る・・・。」

アキラ:「走るったって・・・。」

KGKやMUSASHIが予選通過した事を知る。レスポールはじゅんの14秒8で131番手。KLEVER&クロスロードは20秒1で150番手。
黄旗無視のペナルティーをとられた事も知らされる。

HIRO:(やっぱ取られたか・・・。)

夕方近くなり、トシも到着する。その後、様子を診に来た医者に廊下でアキラが話をしている。
記:トシ
兄貴の様子を見て、決勝は無理って事を実感しました。
アキラさんが、医者に対して
「明後日決勝なんですけど、本人が出たがっているのですが...」
に対して、あきれた医者が
「無理です(きっぱり)。本人が一番わかっていると思います。」
と半ば怒られているアキラさんは
「私も止めたんですけどねぇ」
と、偽善ぽく言ったのが印象的でした。
記:えみゅ
HIROさんが日曜日の決勝を走るというのでアキラさんが回診に来た主治医の先生に聞いてみた。

アキラさん「チーム責任者なんですけど、本人は走りたいみたいなんですけど、明後日の決勝走れますか?」
先生「無理です。そんなことは本人が一番わかってるはずだよ。」

そりゃそうだ・・・
記:アキラ
主治医におそるおそる話しかける。

俺:「あのぉ〜チームの責任者なんですが、明後日決勝レースで・・・本人が走りたがっているのですが・・」

(ダメなのは俺もわかってるんだよぉ〜。一応聞いてるんだかんね。)

医者は一瞬無視するそぶりを見せたが、あきれた顔で答えた。

医者:「無理です(なかば怒りモード)本人もわかってると思うけど、なんたらかんたら(以下略)

(俺に怒ったってよぅ・・・仕方なく言ってるんだからわかってよ・・・)

俺:「いやぁ、僕も無理だと言ったんすけどねぇ。本人がどうしてもと言うモンで。」

ヘコヘコと謝る。情けない監督だ。

そのまま医者は病室に入り、レースは無理なことをHIROに伝えた。
HIROも観念した様子。

話が終わると、医者が呆れ顔でツカツカと歩いてくる。

医師:「わかってるよ、な?」

HIRO:「いや・・ええ・・・。」←わかってない人

医師:「走れるわけねーんだからな、なっ!」

HIRO:「はい・・・。」

その後もアキラに説得され、ようやく諦めることにした。せめて俺の替りに誰か走れないかと思ったが、あまり前向きな意見は聞けなかった。

記:アキラ
HIRO:「磯間・・・もうダメなん・・・?7耐でれないん?」

俺:「うん。」

HIRO:「嘆願書とか出して、磯間が替わりに出れない・・・?」

俺:「ダメだと思うし、俺が走っても・・・。他のチームの補欠を借りてきて走るって手もあるけど。」

HIRO:「誰か補欠を見つけてさ、それで走ってくれよ・・・」

俺:「俺らみんなで頑張ってきたんじゃん。他人を借りてきて走っても意味ないと思う。」

長い沈黙。それは10秒だったのか、1分だったのかわからないが、ようやくHIROが呟いた。

HIRO:「そっか・・・」

リタイヤする事が決まった。
HIRO:(そうだよなぁ。ぐずぐずしてるとグリッドに穴あけちゃうし・・・。)

アキラ:「それじゃ、リタイヤしますよ。」

黙ってうなずく。
記:goma
アキラさん「俺達がリタイヤ届け提出すれば、2チームが今の時点より上のレースに出場できるんだよ」
この一言でHIROが頷き、えみゅがおーたさんに電話を入れにいく。
記:えみゅ
リタイヤのことをおーたさんに電話した。

えみゅ「とても走れる状態じゃないし、明日3耐もあるから今日リタイヤ届を出してください。」
おーたさん「出る方法もあるよ。他のチームから補欠ライダー借りれば走れる。でもそれじゃ意味ないからリタイヤでいいんじゃん。」

こうしてCompusはリタイヤすることとなった。
記:おーた
17:30ごろコントロールタワーに行こうとしたとき病院から、連絡があった。

えみゅ:「明後日走るのは無理なので、リタイヤ届けを出してください。」
俺 :「やっぱり無理か、りょうかいしました。」

状態を聞くと、すぐ病院をでるのは無理なようだ、補欠を借りてきて走る方法もあったのだが、
せっかくみんなでここまでがんばってきた意味がなくなるような気がしてリタイア届けを出すことにした。
すぅさんとリタイヤ届けを出しに行くとコントロールタワー下はリザルトの発表を待つ人でごった返していた。

「すみません、1台リタイヤするんで、正式発表がもっと遅れてしまいます。」

ちょうどそのころ、主催者推薦に落ちたチームもコントロールタワーに呼ばれていた。
やはり、メディアとかオーナーズクラブと関係がないチームは推薦枠からはずれていたようだ。
係りの人にリタイヤ届けを提出し、人込みをかき分け45番ピットに戻る。

「また、がんばるしかないな」

午後5時40分、リタイヤ届を提出し、Compusの夏に終止符をうった。



HIRO:「もう、戻りな。おーたとすぅさん待ってるし。」

みんなが帰った後、また痛みがぶり返してきた。ものすごく眠いのに、入れられたクダが痛すぎて寝れない。転倒直前に見たハンドルのきれた映像が何度も頭に浮かぶ。

 21:00 ツインリンクもてぎ 

記:えみゅ
18:40頃病院を後にする。
トシさん&アキラさん号を先頭にgomaさん&えみゅ号が後を追う。

途中迷いながら21:00頃北ゲート前に到着。
おーたさんがクレデンシャルを持って待っていてくれた。

第1パドックに戻ると45番ピットは大体片付けられていた。
すぅさんはテントの下でなにやらパソコンをいじっている様子。

アキラさん「んじゃ、ミーティングしよっか。」
アキラさん「今年は45位で予選通過しましたが、残念な結果になってしまいました。でも一番悔しいのは内澤さんだと思うから・・・。」
アキラさん「またがんばりましょう。お疲れさまでした。」

みんな「おつかれさまでした。」

その後、トシさん号にアキラさんとgomaさん、おーたさん号にすぅさんとえみゅが乗りこみ「赤坂の森」へ向かった。
その車中で今日1日のことを思い出していた。
そして(今思うとトシさんの転倒も何かの兆しだったのかもしれない)と思った。
トシさんが転倒したからステアリングダンパーを交換した。もし前のままだったら・・・
バイクから突き出た格好のステアリングダンパーはHIROさんの傷を更に深くしていたかもしれない。
そう思うとぞっとした。

夕食後レンガに戻り、慌しく長い1日は終わった。
記:goma
病院から迷いながらやっとツインリンクに戻ってきたら、PITにはCompusしかいなかった。
皆がそれぞれに思いを秘めながら帰り支度をしていると、アキラさんが「最後のミーティングするよ」
と、呼びかけ監督の熱い言葉を聞きました。
それまで押さえていた気持ちがどっと表に出てきそうだったけど、やっとの思いでこらえました。
これで、本当にCompusの7耐が終わったんだ。
記:トシ
その夜ピットでの監督の一言で夏は終わりました。
レースに対する意気込みや努力・厳しさを再認識させられた気がします。
悔しいとは思いませんでした。
監督の言うとおり、一番悔しいのは兄貴だったと思ったからです。
記:おーた
病院に行ってたクルーが戻ってきたのは21時前だった。
45番ピットの他のチームは風呂にいってもういない。
クルーを集めて監督のアキラから一言があった

ピットを後にし、「赤坂の森」で遅い夕飯をとり、宿に入ったのは0時近くであった。
記:アキラ
ピットに戻ると他のチームはもう誰もいなかった。

みんなを集めてミーティングをやり、パドックを後にする。
遅い夕飯を食べ、レンガで風呂に入り、長い一日は終わった。

ベッドに倒れ込むといろいろな思いが頭の中を駆けめぐってくる。

(また来年・・・みんなで頑張ろう・・・)

俺達の2000年もて耐が幕を閉じた。

 同時刻 病院 

看護婦:「あっ!またマスク外してる!ちゃんとつけといてください!」

HIRO:「これうざいんすよ・・・。」



セッティングデータ
サスペンション
(フロント)
突き出し+15o
油面130o
粘度G15
INIHIRO、トシ:最強から4段目/おーた:最強から5段目
TEN最強から1/2回転戻し
サスペンション
(リア)
車高+5o
INI+2.5o
TEN最強から12ノッチ
COMP最強から11ノッチ
メインジェットF172/R175


今日のベストタイム
HIRO2分06秒029自己ベスト更新
おーた2分11秒962
トシ2分15秒461

〜 今日の教訓 〜

・肺に穴が開くと息が苦しくなる!

以上


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