特別スポーツ走行
作成日:00/09/18
更新日:00/09/19

ウィーク3日目。公式練習。当然、晴れ。
第2パドックへ車を置き、コントロールタワーの前を通って45番ピットまで歩いて移動。
さすがに公式練習ともなれば昨日までとは様子が違う。ほとんどのピットでテントが張られ、今年ももて耐らしい雰囲気になってきた。


「おっはぁ〜。」

Compusは今日から監督のアキラとチーフメカニックのすぅさんが入る。クロスロード&KLEVERはKureと3人のヘルパーが追加。北は北海道、南は九州からの参加だ。昨日までは3名だったレスポールも社長を含めた3名が追加され、45番ピットも一気に賑わいを見せる。

今日はグループ毎の走行となり、各グループ共30分が2本と40分が1本の合計3本。
クロスロード&KLEVERがAグループでレスポールがBグループ。Cグループの俺らは1本目が10時からと結構時間が空く。
気温を考慮し、明日の予選時間に合わせて全3本の走行順を決める。1本目は第1ライダーのおーたとトシで、2本目に第2ライダーの俺とトシ。おーたと俺が多めに走り、最後の1本を3人で均等に走る。

昨日、フロントタイヤだけ新品に換えたが、今度はリアも限界にきている。練習は今日だけだが、結局朝一でリアも新品を入れる事にする。ケチケチしないでやはり最初から前後換えておくべきだった。
すぅさんは来ていきなりこの仕事が待っていた。

Aグループ1本目の走行で、始めてもてぎを走った山本さんが地元の土産を持って遊びに来てくれた。
「どう走っていいんか、もぅわっけわからんすわ〜。」と言う山本さんのタイムは俺が今年始めてVTRに乗った時のタイムを上回るものだった。

HIRO:「ただもんじゃねー速さだな・・・。やっぱ教えなきゃよかった。」


ガソリンの販売は長蛇の列となり、買うのに1時間以上もかかる異常事態となっていた。普段はいつもにこやかなスタンドのおじさんも、この時ばかりはさすがに凹んでいたようだが、炎天下の中で並んだヘルパーもかなり凹んだ。

えみゅ〜のコメント
朝、おーたさんに「ヒマな時でいいからガソリン買っといて」と言われた。
その時、特にやることもなかったのですぐに買いに行こうと思ったが、すぅさんが携行缶を貸してくれるというのですぅさんが帰ってくるのを待ってから行くことにした。
スクーターで出かけたすぅさんがすぐに戻ってきて、「並んでて」というので携行缶を1個台車に乗せてスタンドに行った。
行ってビックリ・・・
すんごい列。
10〜15人ぐらいが並んでいて、最後尾はスタンド横のブリジストンの前あたり。
こんなに並んでいるのは始めて見た。
しばらくすると、すぅさん到着。
持ってきた携行缶を置いてスクーターで去っていった。

この日はなぜか待っても待っても一向に前に進まない。
みんなそんなに大量にガソリンを買っていくのだろうか・・・?
まぁ自分も携行缶2個分、40リットル買うしなぁ。
そしてこんな時に限ってタンクローリー到着・・・
私の後ろは更に列が伸びていた。
なかなか進まないので、人員交代をしたり怪我人が並んでたり缶だけ置いて日陰に避難したりみんないろいろやっていた。
それにしても遅い、遅すぎる・・・
Cグループ1本目の時間が刻々と近づいていた。
1本目はおーたさんが走行することになっていたので焦った。
するとそこにgomaさんが来てくれた。
わぁーん、gomaすわぁん(;_;)ってな気分だった。
走行10分前頃まで一緒に並んでいたが、そこはgomaさんに任せてダッシュでピットに戻った。
1本目走行後、急いでスタンドに行くと、丁度gomaさんの順番になるところだった。
いつもはおっちゃんがガソリンを入れてくれるのだが、今日はもてぎの若者だった。
すぅさんの携行缶には少しガソリンが入っていたのでそちらは満タン、そしておーたさんの携行缶は20リットルと若者に伝えた。
まずおーたさんの携行缶に20リットル。ピッタリではなかったがまぁ許容範囲。
次にすぅさんの携行缶に満タン。
そろそろ満タンという頃、携行缶の入り口からガソリンが噴き出した。
いったん、手元を止めるものの尚も入れつづける若者。
オイオイ・・・と思いつつ、「噴き出してますよ!」というとやっと手元を止める。
言い訳するように何か言っていたが良く聞こえなかった。
この若者はおっちゃんより使えないことが判明した。

会計の為、スタンドの事務所に行くといつものおっちゃんがいた。
いつも機械で印刷される伝票をなぜか手書きして会計をしていた。
伝票を書いて、会計して、おつり渡して、販売証明渡して・・・
この繰り返しで誰にいくらおつりなのかやや混乱していた。
伝票を書きながらつぶやくおっちゃん・・・
「こんな仕事はいやだ・・・こんな仕事はいやだ・・・」
おっちゃんは会計よりガソリンを入れる方をやりたかったらしい。

結局ガソリンを買うのに1時間程かかった。
後でわかったことだが、この日は伝票を打ち出す機械が壊れてしまっていたそうだ。
gomaのコメント
ガソリンを買いに行ったえみゅがぜんぜん戻ってこず、おーたさんの走行まであと30分となったので、交代する為にスタンドに向かいました。
列はミシュランのサービスまで並んでおり、えみゅも走行10分前まで一緒に並んでいましたが、おーたさんの走行準備と計測の為ピットへ戻ってもらいました。
他のチームも交代で並んでおり、中には松葉杖の怪我人までもが並んでいました。
いつも通りおじさんがのんびりしているのかと様子を見ていると、こんな時に限って機械が壊れるわタンクローリーが来るわで列は伸びる一方。しかもスタンドはおじさんただ1人。
この状況を見て、事ある毎にあちこちから罵声が飛び交う始末。
「ガソリンスタンドがガス欠かよぉ」「それって一番許せない事じゃん」
「一人でチンタラしてんじゃねえよ」等々・・・。
一人でガソリンを給油して、会計の為レジまで走る。その往復だけでも相当のロス。
しまいにはやっとの思いで買った人に、交渉する人まで現れた。
「次走行なんで、もう間に合わないからガソリン売ってくれませんか?後で返すんで。」
機械を点検しに人が来て、その後にやっと若いにぃちゃんがやってきました。
結局ガソリンを買えたのはえみゅと交代してから1時間近く経った後の事でした。


そうこうしてるうちにCグループ1本目の走行となる。おーたの8周計測後、交代して残った時間をトシが走る。

ピット上でおーたの走行を見学する。昨日とは違ってタイムも比較的順調に伸び、最終ラップではベストまで1秒と言った所。バイクもそれ程遅い感じはしない。ピットインサインを出し、トシへ交代。
おーたのコメント
コースが混んでるな。
寝かしこみのタイミングが遅すぎるような気がする。
特に3コーナー
俺とおーたのセッティングが分かれた事により、去年と同じくトシも俺のセッティングを試してもらう。


トシへの交代時、すぅさんにフロントのイニシャルを1段入れてもらう。

ピットアウトするトシ。最終を見学しようとピット上に上がった所で赤旗中断。走行時間も残りわずかだった為、このまま走行終了となる。1周も計測されないどころか、1回もホームストレートを通過する事なくピットへ戻ってくるトシ。

HIRO:「フロントどう?」

トシ:「いや、全然わかんね。5コーナーで赤旗だったし。」

次の走行は12時15分から。2時間近く間があく。その間にもバイクはすぅさんが面倒見てくれる為、ライダーは充分に体を休める事が出来る。やはり練習から手伝ってくれる人がいると随分違う。


2本目の走行は、俺が先に計測7周で残りをトシ。
予選までの練習はこの1本を含めてあと2回。これが予選と言う気持ちでクラッチをつなぐ。
昨日は何かの間違いだ。この走行で絶対6秒を切ってやる。「ひょっとしてピットイン無視するかもしんね。」と言い残し、まだ誰も並んでいないコースインゲートへ向かう。明日の予選も丁度この時間だ。ここから予選リハーサルを開始する。


一番後ろの45番ピットから各ピット前を通過する。それと同時に、なだれ込むようにバイクが次々とピットから発進し、数台のバイクに先を越される。
一旦エンジンを停止させ、ゲート前でコースオープンを待つ。3列目スタート。

コースオープン10秒前でエンジンを始動する。コースイン。
1周目から先に出たバイクを抜く。計測が開始されてからはなるべく前にいて欲しくない。

1周目10秒から入り、8秒、7秒、6秒と詰めていく。しかしここからまたひっかかり始め、思うようにタイムを詰められない。

HIRO:(あぁ〜。もうなんでこんな多いんだ。)

かなりの台数が出走しており、黄旗も多い。しかし、少なくとも予選はこれより厳しくなるはずだ。この状態でタイムを出さなければいけない。選手権と違い、もて耐はバイクとライダーの差が激しく、台数も多いのでタイムが出しにくい。

7周目の最終コーナーを立ちあがり、6周目のタイムを確認する。これでピットに戻らなければいけない。

Compus
RoadRacing
8−4
   P

HIRO:(はち・・・って・・。)

6秒を切るどころか4周目に1回だけ6秒真ん中を出しただけ。やばい。
交代なので、ピットインラップも全開で飛ばす。3コーナーの進入で1台かわし、4コーナーを立ちあがると前に1台もバイクの姿は無い。

HIRO:(チャーンス。トシすまん。あと1周させてくれ。)

ピットインサインを無視し、全力で1周走る。人の走行を横取りしたからには何が何でもこの周でタイムを出さなければいけない。
90度コーナーを立ちあがり、ピットインせずに最終コーナーへ入る。

Compus
RoadRacing
6−5
   P

大きくうなずき、ピットインの意思を計測者へ伝える。

HIRO:(さっきのラップが6秒5か・・・。)

全力で1周する。またしても絶妙のクリアラップだが、さすがに2周も無視する訳にはいかない。ピットに戻り、トシへ交代。
速攻でつなぎを脱ぎ、最終ラップのタイムに期待しつつトシの走行を計測しているプラットフォームへ向かう。

HIRO:「最終ラップ何秒だった?」と計測用紙を除くと、6秒89。7周目のタイムより遅い。

HIRO:「・・・やっちゃった。」

1本目の走行で1周も走れなかったトシは、3周計測でチェッカーを受ける。タイムも昨日より2秒近く遅い。

アキラ:「わざと?」

HIRO:「そう。滅多に無いクリアだったから。でもタイム出ず意味無し。」

何か少しずつバイクが遅くなっている気もするが、決定的に遅い訳でもない。

HIRO:「初日のタイムは何だったんだ・・・。」

改めて計測用紙を見てみると、初日の気温だけ30℃であとは32℃とか34℃。元々熱に弱いバイクだけに、気温のせいなのかもしれない。



〜〜昼〜〜

あまい!あますぎる。はみ出た
シナチクにただよう哀愁もあまいが、
つらそうな表情が特にあまいKure。

アキラ:「みんな、なっちゃいねぇなぁ〜。」

あまりのふがいなさに、Compus流奥義、元祖Compus食いを披露するアキラ。

アキラにとってはこれが当たり前で普通。

最後の走行までは3時間もあく。各グループ2本目から3本目の間がグループ毎の参加受付になっており、全グループの走行終了後に再度参加受付が出来るスケジュールとなっている。Compusと違い、もてぎは確実に去年の教訓が活きている。

受付を済ませたえみゅ〜がプログラムを持って帰ってくる。

えみゅ〜:「写ってますよ。」

HIRO:「まじ?どれどれ。」

もて耐の様子を伝える沢山の写真の中に、Compusが数枚写っていた。第1回公開練習で撮ってくれた写真も載っており、良く見ると懐かしいFZR等、98年の写真も使われている。

〜〜昼終了〜〜



特になすすべもなく最後の走行を迎える。走行順はおーたと俺の順で5周ずつ。残りをトシ。

そして最後の練習走行へ出動するおーた。
この最後の走行で自己ベストを出し、弾みをつけて明日の予選にのぞみたい。ウィークに入ってから俺とおーたは常に一定のタイム差で今日まできている。おーたが遅い時は俺も遅い。ツナギに着替えると、プラットフォームでおーたのタイムを監視する。

1周目13秒から入り、2周目に12秒1。このまま伸びて行くかと思った3周目は13秒。4周目も同じ13秒。
5周目の最終ラップ。ホームストレートを通過するおーた。えみゅ〜が握るストップウォッチには14秒77。

HIRO:「・・・。」

無言でピットに戻り、ヘルメットとグローブを装着する。

やがておーたが戻ってくる。イニシャルを1段入れ、ピットアウト。

おーたのコメント

1本目で感じた課題に取り組んだが、うまく乗れない。
予選は今まで通りで行く。

コースインして気づいたが、交代後に走るのは随分久しぶりのような気がする。コースイン直後から遠慮無く全開で行けるのは気持ち的にも楽だ。
予選本番までもう5周しか残されてない。この5周でなんとしてもタイムを出さなければならない。予選まで取っておくつもりだったトップエンドの残り500回転を使い、10,000回転でシフトアップ。渾身の力を振り絞り、ウィークを通じても一番の気迫で周回を重ねる。

しかしサインボードには無情にも9秒のオンパレード。
そんな状態で最終ラップを迎え、最終コーナーを立ちあがる。

Compus
RoadRacing
8−5
   P

HIRO:(・・・こんなに攻めてるのに。)

ピットへ戻り、トシへ交代。最後の望みと最終ラップのタイムを見に行くと、9秒10。

HIRO:「ベスト8秒か・・・。」

交代したトシも1本目のタイムを上回ること無く、13秒真ん中をベストに7周を終え、チェッカーとなる。

これで今日全ての走行が終わった。

あとは予選用に前後とも新品タイヤを入れ、車検を受けたら今日の予定は全て終わる。
VTRは車検に出す為に扇風機でエンジンを冷やしている。

HIRO:(おかしい。いや、絶対おかしい。)

最後の8秒ってのもかなり納得いかないが、自分だけならまだしも3人揃って仲良くベストより2秒以上も遅いのは絶対どこかに原因があるはずだ。
ふと去年を思い出し、サイレンサーのグラスウールを疑ってみる。去年もグラスウールが抜けた状態でかなりパワーダウンしていた。

HIRO:「グラスウール大丈夫かな?」

おーた:「右側は新品だから大丈夫だと思うけど。」

HIRO:「左側はどう?」

おーた:「う〜ん・・・。開けてみる?」

HIRO:「出来れば。手伝うよ。」

8秒なんつったら予選落ちしかねない。グラスウールのせいだと祈りつつサイレンサーを開けると、エキパイ側のグラスウールが相当薄くなっており、手で握るとそこだけ凹んでしまう。

HIRO:「この状態ってどう?」

おーた:「かなり減ってる状態。」

HIRO:「去年の時より?」

おーた:「あれはVEGAのだったから。」

HIRO:「あそか。んじゃTSRでは?」

おーた:「ん〜。ここまで減ってるのは始めてだな。大体1レース毎って言うけどね。」

HIRO:「この前換えたのいつ?」

おーた:「3耐前。」

HIRO:「そか・・。」

走行中は気がつかなかったが、考えてみればいつもよりパワーが無かったような気がする。グラスウールを入れた事で本来のパワーが復活してくれるのか?しかし、もうそれを確認する事は出来ない。次は予選本番だ。


すぅさんは明日使う予選用の新品タイヤへ交換。


給油時に必要な防火服,給油装置,消化器及びサインボードのチェックは、車検場とは別に3番ピットで行われる。えみゅ〜とアキラには先にこちらのチェックを受けてきてもらう。

車検場も長蛇の列

グラスウールの交換を終え、装具一式も準備して列に並ぶ。


音量は両側とも100db。車検も細かい指摘を受けたが、問題無くクリア。今日の予定が全て終了する。

すっかり暗くなったパドックを後にし、飯を食った後レンガへ。飯の最中も最後の走行で8秒しか出なかった事が気になり、人の話もあまり聞いてない。
無理に笑顔を取り繕っても、考える事は予選の事ばかり。



最後の最後で8秒。こればかり気になってしょうがない。予選も今日と同じ調子だったらと思うと最悪の事態が脳裏をよぎり、恐くなって中々寝付けない。
もてぎでストレートが遅いってのは致命的だ。ブレーキングで抜けず、もたもたやってる間に予選は終わってしまう。
万一クリアラップがとれたとしても、あの状態でタイムを出すのは不可能に近い。

大丈夫。明日はきっと走ってくれる。初日のパワーがよみがえるはずだ。あれなら目標はクリア出来る自信がある。バイクさえ速ければ・・・。



セッティングデータ
サスペンション
(フロント)
突き出し+15o
油面130o
粘度G15
INIHIRO、トシ:最強から4段目/おーた:最強から5段目
TEN最強から1/2回転戻し
サスペンション
(リア)
車高+5o
INI+2.5o
TEN最強から12ノッチ
COMP最強から11ノッチ
メインジェットF172/R175


今日のベストタイム
HIRO2分06秒52
おーた2分10秒63
トシ2分13秒57

〜 今日の教訓 〜

・グラスウールはこまめに交換しよう!

以上

[公式予選−前編−]に進む

['00もてぎ7時間耐久参戦計画]に戻る

[Compus Road Racing]